かき氷と父と幼いわたしと…♪…
2015年 08月 13日
暑い夏の日の夕方
銭湯から帰ってきた父が
末っ子の
まだ幼い私を呼んだ
父は身を屈めて
タオルの下に隠していた
小さな小さなアルミのお鍋を
わたしに差し出した
小さな小さなお鍋には蓋が付いていた
父が蓋を開けるようにと
わたしに促す
小さな小さなアルミのお鍋は
びっくりするほど冷たかった
戸惑いながら蓋を開けると
小さなお鍋の中に
いちご味のかき氷が入っていた
🍧
とっても驚いた…
そして
子供心に…
本当に
うれしかった…
小さなお鍋の中から いちごのかき氷
まるで玉手箱の蓋を開けたような
気持ちだった
父は私が大好きな かき氷を
ご馳走しようと思っていたのに
一緒に銭湯に行かなかった私のために
こっそり小さなお鍋を持って行って…
夏になると
銭湯の隣りに
現れるかき氷屋さんで…
父は
小さな小さなアルミのお鍋を出して
いちご味のかき氷を
注文したのだ…
お父さんは
その時どんな気持ちだったんだろう
どんな気持ちで
小さな小さなアルミのお鍋を
差し出したんだろう
きっと父は
いちごのかき氷が解けないように
早足で帰って来たんだと思う
その時のことは
今でもはっきり覚えている
小さなお鍋の中の
いちごのかき氷
毎年…
毎年…
夏になると
かき氷が出回る頃
お父さん…
わたしは
思い出すんです
小さな小さなアルミのお鍋の中の
いちごのかき氷を
🍧
お父さん
きっとあの日も
こんな風に
暑くて
騒がしく
蝉が鳴いて
いたんでしょうね…
by little_rose20
| 2015-08-13 06:08
| 家族のこと